基礎情報開く
気管支炎ってなに?
ウイルスや細菌が気管支に感染して起こる病気です。
多くは風邪の症状に引き続いて起こります。熱と、痰のからんだひどいせきが出ます。
「ヒューヒュー」「ゼーゼー」と苦しそうな呼吸をすることもあります。
緊急度は?
症状により異なります。水分がとれないとき、顔色が悪いとき、呼吸が苦しそうなときはすみやかに小児科を受診しましょう。
かかりやすい月齢/年齢は?
乳幼児期~小児期全般に見られます。
かかりやすい季節は?
冬に多いですが、1年中起こります。
病気の特徴開く
原因がウイルスによるものと、細菌によるものがあります
鼻や喉の炎症による風邪の症状に引き続きウイルスや細菌が気管支の粘膜に感染し、炎症を起こします。熱とせきが出ますが、しだいに「ゴロゴロ」と痰のからんだ酷いせきに変わります。乳幼児ではもともと気管支が細いため、炎症によって空気の通り道である気管支がさらに細くなり、「ヒューヒュー」「ゼーゼー」といった喘息のような呼吸をすることもあります[喘息性気管支炎といい、「気管支喘息」とは違います]。また、2歳未満[特に6か月未満]の乳幼児ではRSウイルスなどによって、より細い気管支[細気管支]に炎症が起こり、呼吸が苦しくなることがあります[細気管支炎]。特に先天性心疾患や呼吸器疾患のある乳幼児では重症化することもあり、注意が必要です。
通常は数日で症状が改善しますが、悪化すると肺にまで炎症が拡がることがあります。
原因・予防法・治療法開く
原因・予防法・治療法
9割はウイルス性のもので、ライノウイルス、インフルエンザウイルス、RSウイルス、アデノウイルスなどが原因となります。細菌ではインフルエンザ菌、肺炎球菌、あるいはマイコプラズマなどが原因となります。ウイルス感染に引き続き、細菌感染を生じることもあります。
手洗い、うがい、マスク着用などで風邪を予防しましょう。もし風邪をひいてしまった場合は安静にしてしっかり水分と栄養を摂取し、こじらせないようにしましょう。
インフルエンザウイルス感染は、予防接種で防げることもありますので流行前にかかりつけ医に相談しましょう。
細菌、マイコプラズマによる気管支炎では抗生物質を使います。ウイルスには抗生物質は効きませんが、細菌感染を合併することがあるので抗生物質を使う場合があります。
呼吸困難がひどい場合は、入院治療が必要となります。
対処法・家庭でのケア開く
こんな症状が見られたらすぐにお医者さんへ
呼吸困難のサインに注意し、次の症状があったらすみやかに小児科を受診しましょう。- 呼吸が多い
- 呼吸が苦しそう
- 鼻がふくれたり縮んだりする呼吸
- 息を吸うときに首の正面やあばら骨の間がへこむ呼吸
- 肩で息をするような呼吸
- うめくような呼吸
- 激しくせきこむ
- 水分がとれない
※気管支炎の疑いがあるときは、日中の診療時間内に小児科を受診しましょう。
ただし、呼吸がとても苦しそうならば、時間帯にかかわらずすみやかに受診しましょう。
症状をよく観察することが大切です
風邪をこじらせて気管支炎になることが多いので注意しましょう。熱を測り、その他の全身の症状を正確に観察しましょう。熱があるときは、朝・昼・夕方・夜と1日4回以上測り、熱の上がり方[急に上がってきた、夕方~夜になると高熱が出るなど]にも注意してみましょう。
- 体温の測り方・・・脇の下は汗がたまりやすいのでよく拭き、ななめ前下の方から脇の下の中央に体温計の先端がくるようにはさみましょう。体調のよい時に熱を測り、お子さんの平熱を知っておきましょう。
- 観察のポイントは、体温、せき、痰、呼吸、顔色、機嫌、鼻水、頭痛、関節痛、体のだるさ、嘔吐、便の状態、おしっこの量・色、食欲などの全身の状態です。
せきが出るときの対応
- 痰が切れやすくするための工夫をしましょう
- 背中や胸を軽くとんとんたたく
- 十分に水分を補給する
- 保温と湿度に注意をはらう
- 衣類をゆるめ、上体を起こし加減にする
十分な水分を与えましょう
痰を出しやすくするために、十分な水分を与えましょう。一度に飲ませると、せき込んだときに一緒に吐いてしまうことがあるので、少しずつこまめに水分を与えましょう。
湯ざまし、麦茶、乳幼児用イオン飲料、経口補水液などがよいでしょう。
部屋の環境に気をつけましょう
室温は暑すぎたり、寒すぎたりしないようにしましょう。室温は秋から冬にかけては20℃前後、夏は26℃~28℃位が適温と言われていますが、基本的には大人が快適と感じる室温でよいでしょう。
また加湿器を使う、ぬれタオルや洗濯物を部屋にかけて湿度を保つなど、部屋の乾燥に注意しましょう。
衣類について気をつけましょう
熱が出始めるときは寒気から始まることが多いので、顔色も悪く手足も冷たいときは多めに着せてあげるか、毛布かタオルケットを1枚増やしてあげましょう。
熱が下がってきたら、1枚ずつ少なくしましょう。
汗をかいたら体を拭いたり、こまめに着替えをしましょう。
外来受診時の観察ポイント
以下の点に注意をして、お医者さんに伝えましょう。メモをして行くとよいでしょう。母子健康手帳も忘れずに。
- いつからの発熱か、その後の熱の経過は
- 呼吸やせき、痰の状態
- 他の症状は[機嫌、鼻水、便の状態、吐いていないか]
- 何か薬を使ったか[いつ、何を]、お薬手帳があれば持参しましょう
- 水分、食事の摂取状況
- おしっこは出ているか
注意事項開く
乳児のRSウイルス感染症には要注意
RSウイルスに感染すると、2~8日、典型的には4~6日間の潜伏期間の後、発熱、鼻水、せきなどの症状が出て、通常1~2週間で自然に治ります。しかし2歳未満の乳幼児では細気管支炎や肺炎を起こすことがあり、特に6か月以下の乳児では重症化して入院が必要となる場合もあります。冬に流行しますので、できるだけ人混みを避け、手洗い、うがい、マスク着用などで感染を予防しましょう。
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RSウイルス感染による重篤な下気道疾患の発症抑制
在胎週数35週以下の早産で出生したお子さん、慢性肺疾患、先天性心疾患、免疫不全、ダウン症候群のお子さんには、RSウイルス感染による重篤な下気道疾患の発症を抑制するために薬剤を投与できる場合があります。
主治医の先生に確認してください。
※下気道=気管、気管支、細気管支、呼吸細気管支